みなさんは、食べ物を見て「何が入っているか」想像できますか？
特に食物アレルギーを持つ方にとって、一番怖いのは「食べ物に何が入っているか分からないこと」です。アレルギーを防ぐためには、食べる前に原材料をしっかり確認することがとても大切。でも、それだけでなく事前に「どんな料理に、アレルギーの原因となる食材が使われているのか」を知っておくと、自分の身を守る力がもっと強くなります。
そこで、アレルギーの原因になりやすい8つの食品（8大アレルゲン）について、どんな料理や食べ物に使われているのかを、イラスト付きで楽しく学んでいきましょう！子供でも楽しめるように、8大アレルゲンをキャラクターにしてご紹介します。
８大アレルゲン・The 8 major food allergens in Japan
たまご（鶏卵）・Egg
アレルゲン：
卵は卵黄と卵白で含まれているものが異なります。
アレルギーになりやすいのは、卵白に含まれるオボムコイドやオボアルブミンというたんぱく質。オボムコイドは熱に強く、オボアルブミンは熱に弱い。
卵⻩が原因の「消化管アレルギー」（食物たんぱく誘発胃腸症）の場合もあり。
変身（入っている食べ物）：
マヨネーズ、プリン、オムレツ、ハム、かまぼこなどの練り製品、ハンバーグのつなぎ、ケーキ、お菓子など
代わりになる食べ物：
⇒卵の代わりに、肉、魚、大豆製品などでたんぱく質を取ろう。
豆知識：卵不使用のマヨネーズや、卵不使用のハム、卵不使用のちくわなどが売られているので、ネットで検索して見つけてみましょう。
牛乳・乳製品・Milk, Dairy products
アレルゲン：
カゼインやβ-ラクトグロブリンのたんぱく質。カゼインは加熱してもアレルゲン性は変わらない。乳製品は数多くあり、全粉乳や脱脂粉乳、ホエイパウダーなど思わぬところに使用されているので注意。
変身（入っている食べ物）：
生クリーム、バター、チーズ、ヨーグルト、アイス、チョコレート、ケーキ、脱脂粉乳、ホエイパウダー、プロテインなど
代わりになる食べ物：
⇒牛乳の代わりに、豆乳を使おう。カルシウム不足を防ぐため、小魚や小松菜などを食べよう。
豆知識：英語では、乳製品の事をDairy productsやDairyと言います。
小麦・Wheat
アレルゲン：
主にグリアジン、グルテニンなど。
小麦粉に水を加えてこねると、グリアジンとグルテニンが結び付きグルテンに。
変身（入っている食べ物）：
パン、うどん、ラーメン、パスタ、ピザ、ケーキ、クッキーなど
代わりになる食べ物：
⇒米、グルテンや小麦が入っていない米粉、小麦不使用の米麺
豆知識：米粉とグルテンフリーは再度確認を！
・米粉だから絶対安全ではなく、グルテンなどの小麦を含む原材料が使用されている場合があります。必ず原材料を確認、またはお店の人にグルテンや小麦が入っていないか確認しましょう。
・グルテンフリーは欧米の基準となり、日本の制度ではありません。アレルギー表示の基準とも異なるため、重度のアレルギーの場合、グルテンフリーの記載があっても注意が必要。
・食べた後に運動をすることでアナフィラキシーが誘発されるケースがあるため注意。（食物依存性運動誘発アナフィラキシー）
かに・Crab
えび・Shrimp
アレルゲン：
トロポミオシンというたんぱく質。加熱してもアレルゲン性は変わらない。かにとえびは含まれているタンパク質が似ているために、両方にアレルギー反応を起こしやすい。
変身（入っている食べ物）：
シュウマイ、スープ、えびせんべい、えびフライ、など
豆知識：小学生くらいから発症する数が増加。食べた後に運動をすることでアナフィラキシーが誘発されるケースがあるため注意。（食物依存性運動誘発アナフィラキシー）
そば・Buckwheat
アレルゲン：
そばのアレルゲンは、水に溶けやすく熱に強い。そばを茹でた時の蒸気、空気中に舞ったそば粉、そばを茹でた同じ釜でうどんなどを茹でた場合でもアレルギー症状が出ることもある。
変身（入っている物）：
そばまんじゅう、そば粉を使用したガレット、そば殻を使用した枕など
豆知識：微量でもアナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こすことがあります。そのため、外食時や旅行中はそばを扱うお店を避けるなど注意が必要。
落花生・Peanuts
くるみ・Walnuts
アレルゲン：
ピーナッツは加熱するとアレルゲン性が強くなる。
変身（入っている食べ物）：
ピーナッツバター、ジーマミー豆腐、ドレッシング、くるみパンなど
豆知識：
・くるみのアレルギー発症増加に伴い、2023年３月より「くるみ」が特定原材料に追加されました。
・ピーナッツやくるみは、アナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こしやすいため、注意が必要。
・節分の豆まきでは、地域によって落花生を殻ごとまく習慣があるため注意する。
クイズ
第１問：この記事で紹介した、たまご、乳、小麦が入っている食べ物で、3回登場した共通の食べ物が1つあります。なんでしょうか？（ヒントは甘～い食べ物です）
第２問：カレーのルウは、何が入っているでしょうか？８大アレルゲンの中から２つ答えてね。
このページの一番最後で答え合わせしてね。
＼ちょこっと制作秘話／
今回は、沢山イラストを描いてみました。書いている途中に、子供達が「これなに～？」とか、「おいしそうだね♡」とか言いながら、気が付くと隣で一緒にお絵描きをしてました。
子供って、キャラクターや変身が大好き。沢山のキャラクターの名前をすぐに覚えてびっくりする事があります。そこで思いついたのが、アレルゲンをキャラクター化すれば子供達も覚えやすいかな、そして子供自身が自分の食べてはいけないものを覚えるきっかけになればと思いました。食物アレルギーはつらい、でもだからこそ家族が暗くならずに、楽しく前向きに過ごせたらと願っています。
一緒に楽しく学ぶ第一歩になりますように。
クイズの答え
第１問：ケーキちゃん（たまご、乳成分、小麦を使用）
第２問：乳成分、小麦
*お店のカレーには隠し味でピーナッツバターが入っていることもあるので確認しよう。
参考文献
“食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022” 食物アレルギー研究会.2025
https://www.foodallergy.jp (参照2025-3-14)
“加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(令和5年3月版)”
“米粉製品による小麦アレルギーに気を付けましょう‼” 消費者庁ホームページ.2025.
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy (参照2025-3-14)
“米粉をめぐる状況について” 農林水産省ホームページ.2025.
https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/ (参照2025-3-14)
